第10回メタルフリー歯科学会学術大会 教育講演をします

2018年11月24日(土)、京王プラザホテル札幌にて開催される「第10回メタルフリー歯科学会学術大会」にて教育講演をさせていただくことになりました。

11:10~ 教育講演
白川正順 「我が国の口腔アレルギーの現況」

第10回メタルフリー歯科学会学術大会 ホームページ

********************* 講演要約

我が国の口腔金属アレルギーの現況

         元・日本歯科大学口腔外科学教室第1講座主任教授

白川正順

 

近年、日常生活の中で、多岐にわたる口腔アレルギー疾患に遭遇する。その種類は広いが、なかでも我々に最も近い歯科金属やレジンなどの歯科材料を原因とするもの、あるいは食材などによって起こる口腔アレルギー症候群などに大きく分けられる。

今回の講演では、歯科臨床で最も遭遇する口腔金属アレルギーを中心に話をさせていただきます。

一般の社会生活に目を向けると、数多くの種類の金属製品が作られ繁用されている。身近なものではイヤリングやネックレス、時計など金属製の装飾品などが上げられるが、習慣的に使用しているうちに、これらの金属に感作しやすくなり、粘膜や皮膚のかぶれ、膿胞や発疹など種々の症状を表すようになるが、これらのほとんどは接触性皮膚炎である。

歯科の日常臨床では、歯冠修復に用いられた歯科用金属や歯科用レジンなどが原因となり、金属やレジンが接触する部分に口腔粘膜病変を発症させる。例えば、口腔扁平苔癬、金属性色素沈着、義歯アレルギーなどがあるが、その病態は一様ではない。歯科用レジンの場合には、レジン義歯の不使用などで早期に症状の改善を見るが、歯科金属の場合には接触する粘膜にとどまらず、金属イオンの溶出を原因として、全身の皮膚や粘膜に丘疹、膿疱などの症状を表すことがある。代表的なものには掌蹠膿疱症が上げられるが、最近では顔面皮膚や頭皮あるいは耳珠などに発症する報告例が散見されるようになってきた。

しかし、これらの症状の誘発原因が歯科用金属であると特定するための診断法が、現段階では確立されていない。したがって、歯科用金属がアレルギ-の原因であるとして、短絡的に金属除去を行うのは適切ではない。現段階では、金属アレルギ-あるいはレジンアレルギーの検査は安

全で簡便な検査法であるパッチテストが広く用いられている。しかし、パッチテストで陽性金属が特定されても、口腔内に装着されているどの歯冠修復物かを特定することは極めて困難である。現段階では、歯科金属アレルギ-患者に対する治療方針は定めにくく、臨床の指針となるガイドラインの作成が強く要望されるところである。

演者が今回頂いたテーマは“口腔金属アレルギー”という漠然とした表現であるが、言い換えれば歯科金属アレルギーに違わない。どちらの表現が現代社会の中で、マッチングする表現かを含めて検討する必要がある。

 

白川正順  医学博士

現職

・明海大学歯学部客員教授(病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学分野 )

・東京慈恵会医科大学非常勤講師(歯科口腔外科学)

・防衛医科大学非常勤講師(歯科口腔外科学)

・医療法人社団哲正会白川デンタルクリニック理事長・院長

 

略歴

1972年 日本歯科大学歯学部卒業

1972年 東京慈恵会医科大学歯科学教室 助手

1982年 東京慈恵会医科大学歯科学教室 講師

1992年 東京慈恵会医科大学歯科学教室 助教授

1996年 日本歯科大学歯学部口腔外科学教室第1講座 主任教授

1996年 日本歯科大学歯学部口腔外科学教室第1講座 主任教授

日本歯科大学附属病院口腔外科診療科教授併任

日本歯科大学歯学部大学院氏学研究科教授併任

日本歯科大歯科大学生命歯学部 定年退職

同年   医療法人社団神州 東京駅前歯科口腔外科 理事長・院長

2015年 医療法人社団神州 東京駅前歯科口腔外科 名誉理事長

2017年 医療法人社団哲正会 白川デンタルクリニック理事長・院長

 

資格:学会指導医・専門医

・(公)日本口腔外科学会指導医 専門医・指導医

・(公)日本口腔インプラント学会 専門医・指導医

・(公)日本顎顔面インプラント学会  専門医・指導医

・(一社) 日本有病者歯科医療学会 専門医・指導医

・(一社)日本メタルフリー歯科学会 認定医  ほか

 

学会活動(役職・主なもの)

・公益法人日本口腔外科学会 名誉会員

・中間法人日本口腔科学会  名誉会員

・一般社団法人日本有病者歯科医療学会 名誉会員・監事

・日本病院歯科口腔外科協議会 名誉会員

・一般社団法人日本先進インプラント医療学会 名誉会員・特別顧問

・一般社団法人日本メタルフリー歯科学会 常任理事

・国際口腔インプラント会議 顧問

・NPO法人 口腔がん早期発見システム全国ネットワーク 理事

・一般社団法人日本口腔内科学会 代議員

・日本歯科医史学会 評議員